チャプター 1: 会社を1つ潰した男が、6週間で作ったもの
ある男が6年間、大手のコンサルティング会社で働いていました。
大きな会社の、大きなプロジェクトを担当する仕事です。名の知れた会社で、給料も悪くない。日本で言えば、大手企業の総合職のような立場です。
そこを出て、彼は自分の会社を作ります。
旅行保険のサービスでした。
これが、そこそこうまくいきます。利用者の評価サイトでは、その分野で2位まで上がりました。
そして2020年。
世界中の人が旅行をやめました。
旅行保険の会社です。どうなるかは、想像がつくと思います。
会社は立ち行かなくなりました。
ここからの話が、今日の本題です。
彼が次に作ったものは、たった6週間でできています。
そして、その6週間の作業で、彼はコードを1行も書いていません。
プログラムが書けなかったからではありません。
書く必要がなかったからです。
そして、その道具は今、月に7万5000件の会話を処理しています。
男の名前は、アレックス・レイリー。
大手コンサルティング会社で6年。その後に起業した会社は、コロナによって失敗しました。
現在はAIを使ったサービスで、月およそ585万円。
従業員は、共同創業者と合わせて2人だけです。
今日は、「作れない人が、どうやって作るのか」を解体していきます。
まず確認させてください。
AIで何かを始めたいと思ったとき、多くの人が最初にぶつかるのが、次の問題です。
チャプター 2: 「作れない」という言い訳の正体
「でも、自分は作れない」
「プログラムが書けない」
「理系でもない」
「だから、アイデアがあっても形にできない」
そう思って止まっている方は、多いと思います。
でも、この「作れない」には、実は2つの意味が混ざっています。
1つは、「作る技術がない」。
もう1つは、「何を作るか決まっていない」。
そして、本当に止まっている原因は、大抵、後者です。
今日の主人公が証明しているのは、まさにそこです。
彼は「作る技術」の部分を完全に外して、6週間でサービスを作りました。
もう少し、はっきり言います。
これまでも、「何を作るか」を決められる人はたくさんいました。
でも、その人たちは自分では作れません。
だから、「作れる人」を探すしかなかった。
探して、お金を払って、待って、説明して、直してもらって、また待つ。
この過程で、大抵の企画は消えていきます。
時間も、お金も、かかりすぎるからです。
だから、「決められる人」の価値は、長い間、埋もれていました。
AIが変えたのは、ここです。
作る工程が短くなったことで、「決められる人」が直接作れるようになった。
技術者だけが強くなったのではありません。
「判断できる人」が強くなったんです。
順番に見ていきます。
彼のもともとの仕事は、技術系のコンサルタントでした。
大きな会社の、大きなプロジェクトを6年間担当していました。
チャプター 3: 6年間のコンサルタント
ここで大事なのは、彼が「作る人」ではなく、「決める人」だったことです。
何を作るべきかを考えて、人に作ってもらう。
コンサルタントの仕事は、そういう仕事です。
日本の会社でも、同じような立場の人は多いはずです。
企画をする人。
要件をまとめる人。
現場を知っているけれど、自分では手を動かさない人。
そういう人にとって、AIの登場は、意味がまったく違ってきます。
これは後で詳しく話します。
コンサルティング会社を出たあと、彼が作ったのは、旅行保険のサービスでした。
チャプター 4: 1社目は、コロナで消えた
このサービスは、ちゃんと伸びています。
利用者の評価サイトでは、その分野で2位。
つまり、事業としては成立していました。
そこに、2020年が来ます。
飛行機が止まり、国境が閉じ、旅行そのものが消えました。
旅行保険の需要も、当然、消えます。
これは、彼の能力の問題ではありません。
やっていたことが悪かったわけでもない。
ただ、市場のほうが消えた。
2020年、彼が置かれた状況を整理します。
6年間のコンサルタント経験。
その後に起業。
評価サイトでは、その分野で2位まで到達。
そこにパンデミックが起こり、旅行市場が消滅。
事業は立ち行かなくなりました。
ここで多くの人は、就職に戻ります。
実際、それは何もおかしくない判断です。
彼が選んだのは、別の道でした。
小さなサービスをいくつか作って、それを売る。
サービスそのものを、ほかの人に売却するということです。
大きく当てるのではなく、小さく作って、小さく売る。
これを繰り返して、次の挑戦の資金を作りました。
ここは地味ですが、大事なところです。
事業を失ったあと、彼は次の「大きな一発」を探していません。
小さいものを作って、売って、現金にする。
それを淡々と繰り返しました。
大きく失敗した直後に、また大きく賭けると、大抵は潰れます。
小さく回しながら、時代のほうが変わるのを待ったとも言えます。
そして2023年。
時代が変わりました。
派手ではありません。
でも、ここで手を止めなかったことが、次につながります。
チャプター 5: 2023年、コードを書かずに作った
2023年の初め。
世の中の空気が、一気に変わった時期です。
AIと文章で会話できることが、当たり前になりました。
彼は共同創業者と2人で、新しいものを作り始めます。
作ったのは、こういう道具です。
会社のホームページや資料を、あらかじめAIに読み込ませておく。
すると、お客さんからの問い合わせに、AIが自動で答えてくれる。
問い合わせ対応をAIに任せる道具です。
そして、ここが今日の核心です。
彼は、コードを1行も書かずに、それを作りました。
使ったのは、部品を並べるようにしてサービスを作れる制作ツールです。
作った期間は、およそ6週間。
実際の開発作業を進めたのは、彼自身です。
コードを書かずに、6週間。
念のため言っておくと、これは趣味レベルの試作品ではありません。
その後、月に何万件もの会話を処理するサービスになっています。
数字を見ていきます。
公開してから6ヶ月で、月およそ270万円。
そして18ヶ月で、月およそ585万円になりました。
チャプター 6: 18ヶ月で、月585万円
登録している会社は、数万社。
月に処理している会話は、7万5000件を超えます。
これを何人でやっているか。
2人です。
彼と共同創業者だけ。
ほかに従業員はいません。
2人で数万社を相手にしています。
昔なら、この数の顧客を抱えたら、問い合わせ対応の部署だけでも何十人も必要だったかもしれません。
その部分を、自分たちの作った道具で賄っています。
つまり、「自分が作った道具を、自分が一番使っている」ということです。
改めて数字を整理します。
公開6ヶ月で、月およそ270万円。
18ヶ月で、月およそ585万円。
登録企業は数万社。
月間の会話数は7万5000件。
従業員は2人。
本人と共同創業者だけです。
ここからが、今日一番お伝えしたい部分です。
チャプター 7: なぜ、コンサルタントが作れたのか
なぜ、コードを書けない人でも、6週間で作れたのか。
「道具が良くなったから」
これは半分だけ正解です。
もう半分は、彼が「作る人」ではなく、「決める人」だったことにあります。
考えてみてください。
問い合わせ対応をAIに任せる道具を作るとき、一番難しいのはどこでしょうか。
技術ではありません。
何を、どこまでAIに任せて、どこから人間に渡すのか。
その線引きです。
この線を間違えると、道具は使い物になりません。
AIが答えられない質問に、無理やり答えてしまう。
逆に、簡単な質問まで人間に回してしまう。
この線引きは、技術の問題ではなく、業務の問題です。
もう少し具体的に言います。
例えば、返金に関する問い合わせ。
これはAIに答えさせてもいいでしょうか。
答えは、会社によって違います。
金額によっても違います。
相手が何回目のお客さんなのかによっても違います。
この判断を、AIが勝手に決めることはできません。
そして、単にプログラムを書ける人だからといって、決められるわけでもありません。
決められるのは、その業務を見てきた人です。
そして彼は、6年間、大企業の業務を見てきた人でした。
かつて価値があったものと、今、価値があるもの。
「作る技術」は、AIが埋め始めています。
「何を作るのか」を判断すること。
これは、今も人間の重要な役割です。
そして、業務を知っていること。
ここが、一番強い。
ここが、日本の会社員にとって一番大事な話だと思います。
これまで、手を動かせない人は、事業を作れませんでした。
アイデアがあっても、作れる人を探して、お金を払って、待つしかなかった。
今は、「作る部分」をAIや制作ツールが埋めてくれます。
そうすると残るのは、「何を作るか」という判断です。
そして、その判断に必要なのは、現場を知っていることです。
長く働いてきた人ほど、それを持っています。
そして、もう1つ、見落としやすい点があります。
チャプター 8: もう一つの発見。自分では、作っていない
彼が作ったのは、問い合わせ対応の道具です。
これは、彼がゼロから思いついた、まったく新しいアイデアでしょうか。
違います。
「問い合わせ対応が大変だ」というのは、世界中のあらゆる会社が、ずっと前から抱えている問題です。
新しくもなければ、目新しくもありません。
つまり彼は、「誰も気づいていない問題」を探していません。
全員が知っている。
でも、面倒だから放置されている。
そんな問題を取りに行きました。
新しいアイデアを探すのは、とても難しい。
でも、「放置されている面倒」を探すのは、それほど難しくありません。
あなたの職場にも、いくつもあるはずです。
ここで、正直にお伝えしておきたいことがあります。
チャプター 9: 正直にお伝えする、3つのこと
1つ目。
彼は、1人ではありません。
共同創業者がいます。
2人でやっている話を、「たった1人で全部やった話」として聞かないでください。
2つ目。
コードを書いていないのは事実ですが、彼は技術系のコンサルタントを6年間やっています。
つまり、技術そのものへの理解はあります。
まったく技術と縁のない人が、同じ速さで作れるとは限りません。
ただし、繰り返しになりますが、彼が主に使ったのは「判断の経験」であって、「自分でコードを書く技術」ではありませんでした。
3つ目。
今日紹介している数字は、売上であって利益ではありません。
そして、本人の公表や取材記事などに基づく数字であり、監査された決算書の数字ではありません。
ここは、分けて考える必要があります。
それから、彼は1社目を失っています。
評価サイトで2位まで行った会社が、市場ごと消えました。
うまくいった部分だけを見ると、判断を誤ります。
ここまで聞くと、いくつか疑問が出てくると思います。
代表的なものを、3つ答えます。
チャプター 10: それでも出てくる、3つの疑問
1つ目。
「コードを書かないで作った道具なんて、おもちゃでは?」
月に7万5000件の会話を処理しています。
数万社が登録しています。
少なくとも、単なるおもちゃではありません。
2つ目。
「問い合わせ対応のAIなんて、もうたくさんある」
その通りです。
そして、彼が作った2023年の時点でも、すでにありました。
それでも成立した理由の1つは、「1番になる必要がない」からです。
世界中の会社が抱えている大きな問題なので、その市場の一部を取るだけでも、2人が食べていける規模になります。
これは、副業や小さな起業を考えるとき、とても大事な考え方です。
「1位を取ろう」とすると、「競争に勝てる分野」を探すことになります。
そして、簡単に勝てそうな分野は、大抵、市場そのものが小さすぎて、十分な売上になりません。
逆に、大きくて古い問題は、競争相手も多いですが、取れる市場も大きい。
2人で食べていくだけなら、その市場の1%の、さらに1%でも十分かもしれません。
全部を取る必要はないんです。
3つ目。
「自分には、現場の知識なんてない」
おそらく、それは気づいていないだけです。
あなたが毎日やっている作業は、その業界の外の人には、まったく見えません。
自分にとっての「当たり前」は、他人にとっては立派な知識です。
チャプター 11: 今夜からできる、3ステップ
では、何をするか。
ステップ1。
自分が「決められること」を3つ書き出す。
ステップ2。
放置されている面倒を1つ選ぶ。
ステップ3。
作る部分は、AIに任せる前提で考える。
まずステップ1。
「作れること」ではなく、「決められること」を書き出します。
あなたが後輩に説明できること。
「それは、こうした方がいい」と言えること。
その業界では当たり前だけれど、外の人は知らないこと。
3つでいいです。
これが、あなたの持っている大きな資産です。
書き方に、1つコツがあります。
「○○ができます」ではなく、
「○○は、こうした方がいい」
という形で書いてください。
「できること」を書くと、資格や技術の話になります。
でも、「こうした方がいい」と言えることは、判断です。
そして今、価値が高まっているのは、この「判断」のほうです。
ステップ2。
その中から、「みんな面倒だと思っているのに、誰も直していないこと」を1つ選びます。
新しい問題を探さないでください。
古くて、退屈で、放置されている問題を選びます。
彼が選んだ問い合わせ対応も、まさにそれでした。
ステップ3。
そして、「作る部分」は最初から自分以外に任せる前提で考えます。
ここで言う「自分以外」とは、AIや制作ツールです。
「自分には作れないから無理だ」と考えると、そこで止まります。
でも、
「作る部分は任せるとして、何を作るか」
と考えると、話が進みます。
同じ状況でも、質問の立て方によって結論が変わります。
もし今日、1つだけやるなら、ステップ1です。
3つ書き出すだけなら、5分で終わります。
チャプター 12: まとめ
まとめます。
大手コンサルティング会社で6年間働いた男が、独立して作った会社を、パンデミックによって失いました。
評価サイトで2位まで行った事業が、市場ごと消えたんです。
そこから彼が作ったのは、問い合わせ対応をAIに任せる道具でした。
コードは1行も書いていません。
かかった期間は、6週間。
18ヶ月後、月およそ585万円。
従業員は、2人だけです。
彼が使ったのは、「自分で作る技術」だけではありませんでした。
6年間、現場を見てきたことで身につけた「判断」のほうです。
これまで、手を動かせない人は、事業を作るハードルが高い状態でした。
今は、「作る部分」をAIや制作ツールが埋めてくれます。
その結果、以前よりも重要になっているのが、「何を作るかを決めること」です。
そして、その判断力は、長く働いてきた人ほど、すでに持っている可能性があります。
「作れないから始められない」のではありません。
「何を作るか決めていないから、始められない」
そう考えることもできます。
もう一度言います。
彼が持っていたのは、「自分ですべてを作る技術」だけではありません。
6年間、現場で何が起きているのかを見てきた。
そこで培った判断力がありました。
あなたが今の会社で見てきたものにも、同じような価値があるかもしれません。
チャプター 13: あなたはどれですか
あなたの今の状態を教えてください。
1、今夜、早速「自分が決められること」を3つ書き出してみる。
2、書き出せそうだけれど、それがお金になる気がしない。
3、正直、まだ「自分には作れないから無理」と思っている。
正直に書いてもらえると、次の動画の作り方が変わるので助かります。
チャプター 14: お知らせ
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